島根の物産

島根県の紹介~豊かな自然と歴史に育まれた島根県~

豊かな自然と歴史に育まれた島根県

東西に約200kmと細長い島根県は、中国山地を背にし、日本海に望む豊かな自然に恵まれたところです。風土記時代よリ3つの国で成リ立ち、それぞれ異なった地域性を持つことから、しばしば県東部の出雲、西部の石見、日本海に浮かぶ隠岐の3つの地域に分けて語られます。

出雲は、年に一度、全国の神様たちが集まることから10月の異名を神在月(一般には神無月)といい、神々のふるさととしても知られています。縁結びで名高い出雲大社や358本の銅剣が出土した荒神谷遺跡、全国最多の39個の銅鐸が出土した加茂岩倉遺跡など、神話の世界がいたるところに息づいています。

そして、小泉八雲は島根を心のふるさととし、『知られぬ日本の面影』の美しい文章で松江を紹介しました。
この松江は水の都として知られ、嫁ヶ島をを近景に眺める宍道湖のタ日は、神秘的な美しさで見る人を魅了します。
また、中国山地沿いの奥出雲は、かつては日本有数のたたら製鉄で栄えた地域で、今もその遺構が随所に見られます。安来市や吉田村、奥出雲町など5市町村では、たたら製鉄の関連施設が新たに整備されておリ、鉄の文化を見て回ることができます。

石見では、県のほぼ中央にそびえる三瓶山が四季折々の姿を楽しませてくれ、古代、神様がこの山を杭に海の彼方から土地を引き寄せ国造リをしたという国引神話を残しています。
そして、中国山地からは中国地方最大の江の川が山あいを流れ、日本海に注いでいます。山間部は川沿いに開け、各地で川にちなんだイベントや祭りが行われ、カヌーで川下リを楽しむこともできます。
また、万葉の歌聖柿本人麻呂の終焉の地が各地で言い伝えられておリ、その謎ときをしながら石見路を訪ね歩くのも旅のロマンの1つではないでしょうか。

そして、中世から近世にかけ、日本第一の銀山として栄え、江戸幕府を支えた天領石見銀山と当時の面形を残す大森の町並み、山陰の小京都といわれる城下町津和野など、石見にも歴史と自然があふれています。

また、大小合わせて200余リの神楽社中が各地にあリ、この石見神楽は八調子と呼ばれる早いテンポが特徴で、ショーアップされたダイナミックな大蛇退治は迫力たっぷリです。

出雲大社

宍道湖の夕日

石見銀山

海と山の幸、伝統の味~島根の味覚~

海の幸

日本海に面した島根では、対馬海流に乗ってやってくる魚類も豊富で、イワシ、アジ、サバ、トビウオ、カレイ、ヒラメ、アマダイ、ノドグロ、イカ、ハマチなど四季にわたって旬の味を楽しむことができます。家庭の食卓には新鮮な魚介類が上ることも多く、中でも初夏に捕れるトビウオは「アゴ」と呼ばれ、県魚に指定されるほどなじみ深い魚です。刺身にしてもよく、すり身にして汁の実や天ぷらなどに料理されるほか、出雲地方独特の調理法でちくわ状の「あご野焼き」にも加工され、土産品としても喜ばれています。

初夏から秋にかけては日本海沿岸で多くのイカ釣り船が漁をし、夏の夜を彩る漁火は美しい風物詩にもなっています。スルメイカ、ケンサキイカなどが捕れ、スルメなどの干物製品にも加工されています。そして、早春のワカメ、厳冬の岩ノリも忘れてならない海の幸。特にワカメは板状に広げて乾燥させた島根独自の板ワカメに加工され、そのまま軽くあぶったり、ご飯にふりかけたりして磯の香りを味わうことができます。

海水と淡水が入り混じった汽水湖の宍道湖で捕れる粒の大きなヤマトシジミは、全国の3割以上の生産量を誇り、むき身のしぐれ煮などにも加工されています。このシジミのほか、シラウオ、ワカサギ(アマサギ)、スズキ、コイ、モロゲエビ、ウナギを「宍道湖七珍」といい、湖の幸としての名物料理にもなっています。江の川や高津川ではヤマメ、イワナ、アユなどが捕れ、アユは「うるか」などにも加工されています。

生魚

しじみ

山の幸

山の幸といえば、これも四季折々の産物が登場します。
中でもブドウやメロン、西条柿は品質も良く、味も甘くおいしいことから贈答品などにも喜ばれ、ブドウはワインにも加工されています。

また、松江では大きな葉と表皮が濃い赤紫色の根部を持った津田カブのぬか漬けがつくられ、冬の食卓には欠かせない味と香りで親しまれています。その他にも、そばの甘皮まで一緒に挽いた色の黒い「出雲そば」は、味とコシが強い上に香りも格段に高く、そばつゆと薬味をかける割子そばにして食べられています。

しょうゆやみそなども独自の製法でつくられた個性的なものが多く、山間部では山菜などを加工した漬物、佃煮などもつくられています。そして、最近の健康志向に対応した牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品も安全性と高品質で人気があります。

島根を代表する農産物には米と和牛もあります。島根米は県外でもおいしい米として評判が高く、良質な米を用いた餅やアイスクリーム、菓子などの加工品もつくられています。全国に誇れるブランド、島根和牛はそのままステーキ肉に、またみそ漬けなどにも加工されています。

デラウェア

和牛肉

伝統の味

松江は城下町としても知られていますが、この松江に茶の湯の文化を広めたのが、不昧流という茶道も興した風流殿様松平治郷で、その影響を受けて茶事にちなんだたくさんのお菓子も生まれました。松江は京都、金沢と並んで日本の三大菓子どころといわれますが、今も伝統的なお菓子がつくられている一方で、新しい感覚のお菓子も次々に登場しています。また、お茶どころらしく日本茶も多く、贈答品などとして人気があります。

出雲神話の大蛇退治にも酒が登場しますが、島根は全国でも有数の酒どころです。島根の良質な米とおいしい水、そして杜氏の技の絶妙なハーモニーで醸し出される酒は、県外でもおいしい酒として高い人気を得ています。

お茶菓子

匠の技~工芸~~受け継がれる伝統~

工芸

縄文時代からの遺跡が見られる島根では、古代より連錦とつくられてきた多くのものが、人の手から手へとその技術が受け継がれ、今もつくり続けられています。そして、その伝統を活かしながら新しい製品も次々に生まれています。

現在では土産物として人気の高いペンダントやタイピンなどのめのう製品は、縄文時代から玉製品としてつくられていたといわれ、出雲でつくられた勾玉や管玉は平安時代までは朝廷への献納品でした。そして、同じく縄文時代から石器に使われていた隠岐の黒耀石も、今ではアクセサリーや工芸品などに加工されています。
島根県は長い歴史の中で、それぞれに固有の文化が育まれてきました。それだけに古い習俗を大切に伝える所が多く、年中行事や民間信仰に深く関係した張り子の虎や土人形、面、凧などの人形や玩具類が民芸品として現在でもつくり続けられています。

また、江戸時代からの歴史を持つ織物類や染め物、和紙もその伝統的技術が後継者たちによって保存されています。中でも雁皮紙の技術保持者として国の重要無形文化財に指定された故安部榮四郎は出雲民芸紙といわれる独特の手漉き紙を生み出しています。同じく工芸技術として国の重要無形文化財指定の石州半紙は、手漉き紙として高い評価を得ています。
茶の湯の文化を今に伝える城下町松江の茶事に欠かせないのが茶碗です。当時から茶道具を中心に焼かれてきた窯元では、現在でもその技を受け継いだ作品が焼かれています。このように焼きものは古い歴史を持つ窯もあれば、石見でつくられる実用陶器や、新しく開窯した作家性を強く打ち出した個性的なものまで、県内各地で作陶されています。

奈良・平安時代に始まり、江戸時代に盛んにつくられたのが来待石で細工された出雲石灯ろうです。新しくても古色を感じさせる来待石は、コケがつきやすく庭園などに置くと風情が出るところに特徴があり、関西方面にも多く出荷されています。

近世には、独特な技法によって年月が経つと漆が透明度を増し、描かれている絵が鮮明になってくる八雲塗がつくられ、今も盆や菓子器などがつくられています。また、雲州そろばんも古い歴史を持ち、質の高い高級そろばんとして全国に有名です。

まがたま

和紙

焼き物